HAPPYさがしてヨーロッパ
異国の味をさがして
writer:Fumi
このコラムの中で、「ドイツ料理は華がない」と口を酸っぱくするほど言ってきた。クリスマスにポテトサラダと冷たいミートボールが登場してデザートもない経験をした時は、一年の終わりと同時にこの世の終わりを感じたほどだ。では、食生活の貧しいドイツで人々は日頃何を食べているのだろうか。
首都ということで移民や外国人が総人口の三十パーセントを超えるベルリンでは、レストランが実に多彩なのが救いだ。逆に言うと、ドイツ料理を振る舞うレストランを探す方が難しかったりする。
もちろんイタリア料理、フランス料理、中華料理などの、世界中どこの街でも必ず見つかるレストランは至る所に点在している。今回紹介したいのは、ベルリンだから簡単に見つかるインターナショナル・グルメの世界。
トルコ料理
まずはトルコ料理。日本でも見かけるようになったドネルケバブの実の故郷が、トルコ移民が圧倒的に多いベルリンだ、ということをご存じであろうか。1960年代にトルコから来た移民が、肉を回転させてローストし、パンにサラダなどとともに挟んで屋台で販売したのがドネルケバブの始まりだ。ドネルケバブ屋は、日本にあるコンビニに匹敵する勢いで点在する。
しかしトルコ料理はこれだけではない。トルコピザとも呼ばれる「ラマチュン」や、肉と魚のグリル専門店、ご飯もの、煮込みものなどが食べられるレストランがある。
アラブ料理
トルコに次いで多いのがアラブ料理。トルコが肉々しいのに対して、アラブは豆や野菜を使った料理が多いのでベジタリアンも大喜びだ。潰したひよこ豆を丸くして揚げた「ファラフェル」や、ひよこ豆のピュレに絶妙な味付けをした「フムス」などがその代表格。ドネルケバブよりヘルシーなお手軽テイクアウトものとして人気を博している。
シリア料理
複雑な政治事情のシリアから難民がドイツに大勢やってきたことで、シリア料理も見かけるようになった。近所に一軒シリアの洋菓子店がある。トルコ料理、アラブ料理でもよく見るお菓子なのだが、シリアのものは甘すぎず、そして見た目が何とも美しい。洋菓子というより華奢で繊細な和菓子を思い出す。
インターナショナル・グルメ、他にも色々
旧東ドイツの共産主義時代にベトナムからやってきた移民の二代目、三代目がおしゃれなベトナミアン・ビストロやカフェを出しているのも嬉しい。あとは中華料理はもちろん、韓国料理も定着してきた。
さて、日本食はというと、SUSHIだけではなくなってきており、数年前からはRAMENが人気をさらっている。味の濃いものが大好きなドイツ人にとっては、お好み焼き、たこ焼き、丼ものも受けている。出汁の美味しさや季節を堪能する、いわゆる和食、が定着する日はまだまだ遠そうではある。
writer:Fumi
ドイツ在住、Gourmieオーナー。10代の頃から、フランス、スイス、ドイツ、オーストリアなどヨーロッパ各地に住み、遊学。現在はベルリンを拠点に、スイーツやデリなどのメニュー開発及びケータリングに携わる。2013年から始めた日本文化を気軽に楽しむことができるお料理教室は、ベルリンやウィーンで人気に。趣味は、読書、美術鑑賞、食べること。