ハンガリー生活、はじめました
クリスマスマーケットのある生活 ― 2017年
writer: 本宮じゅん
今年もブダペストはクリスマスマーケットの季節となった。11月10日に中心部のヴェレシュマルティ広場(Vörösmarty tér)で始まったのを皮切りに、12月に入る頃には市内の数カ所で見かけるようになった。日に日に寒くなり、日照時間もますます短くなっていくこの時期、クリスマスマーケットに足を運ぶのが、毎日の楽しみのひとつでもある。
観光客にも大人気のヴェレシュマルティ広場
クリスマスマーケットは、ハンガリー語では「カラーチョニ・ヴァーシャール(karácsonyi vásár)」という。ブダペスト市内で開催されている中でも最大規模を誇るのが、ヴェレシュマルティ広場。雑貨や食料品の屋台が並ぶ様子や、広場の中央にフードコートのテラスが設置されている様子、夜になると美しいイルミネーションが輝く様子など、去年とほとんど変わらないように見える。それでもホットワインのカップを片手に、それぞれの屋台を見て歩いて回るだけで楽しい。
「ジェルボー」の外壁に注目
ヴェレシュマルティ広場のシンボル的存在でもあり、かつてはハプスブルク皇妃エリーザベトも足繁く訪れたという、老舗カフェ兼レストラン「ジェルボー(Gerbeaud)」。この荘厳な建物の外壁に映し出されるプロジェクションマッピングも見逃せない。去年はどんなものだったのか全然憶えていなかったので、今年は新鮮な気分で鑑賞することができた。そして、しばらくして各国語のクリスマスの挨拶の言葉も映し出されていることに気づいた。「メリークリスマス」、日本語のその文字もちゃんと見えてなんだかホッとした。
市内中心部以外でも開催
ところでハンガリー人の友人と話していたところ、彼女はヴェレシュマルティ広場など中心部のクリスマスマーケットはあまり好きではないようだ。理由は明確。だいたい観光客、それも外国人観光客で混雑しているし、全体的に価格帯も高め。確かに屋台のスタッフも英語で応対してくれるし、メニューも英語が併記されているので、外国人にとってはありがたい。ただ、彼女が勧めてくれた"観光客がほとんど訪れない"クリスマスマーケットもすごく気になって、ブダペスト市内北部のウーイペシュト(Újpest)地区に足を運んでみた。
時期が早すぎたのかまだ開店していない屋台も多かったが、大きなツリーの隣にはスケートリンクが設置されていて、地元の人とおぼしき人々で賑わっていた。素朴な雰囲気に包まれて、心が温まった。
聖イシュトヴァーン大聖堂では
スケートリンクといえば、今年も聖イシュトヴァーン大聖堂の前の広場には、大きな赤いクリスマスツリーとともにスケートリンク(※十四歳以下のみ対象)が設置されていた。大聖堂の正面壁面にプロジェクションマッピングが映し出されるのも去年と同様。スタートまでのカウントダウンが表示されるので、残り三十秒を切る頃には思わずベストポジションを探してしまう。
私の中でもすっかり恒例行事となったクリスマスマーケット。去年との共通点に気付きながら、新しい発見もある。そして、まだハンガリー生活になかなか慣れていなかった一年前のことを振り返ってみたりする。また来年も再来年も、この街で過ごせますように。
ブダペスト・カラーチョニ・ヴァーシャール 公式ホームページ(英語)
writer:本宮じゅん
2016年7月末にハンガリーのブダペストに移住したばかりの新米ライター。大学在学中に1年間ドイツのライプツィヒ大学に交換留学し、卒業後は外資系化粧品メーカー・広告代理店・外食産業と、業界が違いながらも通算14年近くマーケティング業務に携わった後、ハンガリーのブダペストへ。趣味は料理、街歩き、街歩きのついでに飲むビール。