HAPPYさがしてヨーロッパ
ドイツグルメをさがして 【お菓子の巻】
writer:Fumi
グルメな国フランス。ワインにバゲットにカマンベールにマカロンと、挙げだしたらキリがない。「ではドイツはどうでしょう」と言ったらみなさん何を思い浮かべていただけるだろうか。「ビールとソーセージ」と言ってネタ切れしてしまうのではないだろうか。それにこの二つが並んだところで「ご馳走!」というわけにもいかない。
そんなドイツの美味しさを探して行こうかと思う。今回は誰もが知っているドイツのお菓子、誰もが舌を噛まずに言えるドイツ語でもある『バウムクーヘン』についてちょっとしたためたい。もしかするとバウムクーヘンがドイツのものであること自体知られていないのかもしれないが、『バウム』は木、『クーヘン』はケーキを意味し、そう、木を型どった年輪の見えるあのお菓子のことである。
日本ではスーパーで小袋入りで売られていたり、時には木箱に入った専門店のこだわりのものがあったり、とにかく種類も豊富だ。「ドイツにはきっとさらに奥深いバウムクーヘンがあるに違いない!」とお思いであろうか。その実情をいざ明かそう。
そもそもバウムクーヘンはスーパーには基本的に置いていない。ケーキ屋さんにも皆無。バウムクーヘン専門店などあればびっくり、というのがバウムクーヘンの故郷の現実なのである。
しかしベルリンにはバウムクーヘンを売りにしている老舗がかろうじて二軒。ちょっと街の外れにあるのだが、先日わざわざ足を運んでみた。
「専門店というからにはいろいろな味があったり限定品があったりするのだろう!」と夢を膨らませてたどり着いたカフェでまず目に飛び込んできたのは、ショーケースに勢ぞろいしたジャンボサイズのケーキたち。肝心のバウムクーヘンはどこだろうとキョロキョロすると、すでに切り落とされて袋に詰められ、すみっこに並んでいた。おまけにあまり種類が豊富でない。
ちょっとモチベーションが下がったというのが正直なところだが、ここまで来たからには食べないわけにはいかない。もっともシンプルと言えるアイシング(砂糖コーティング)されたものを注文した。
年輪が不揃いで手作り感がたっぷり。アイシングもおばあちゃんが作ってくれたような温かみがある。おいしいのだが、あの日本のバウムクーヘンで味わえる洗練されたこだわりが足りない。
最近ふと立ち寄ったスーパーでハンガリーにある店が『ハンガリーバウムクーヘン』をデモ販売していたので買ってみた。
年輪はなく、空洞の部分が多い。サキイカ のようにクルクル剥がしながら食べることができて、おもしろい。そしてケーキというよりはパンのように軽くいただける。
現実にせまりすぎて夢を壊してしまっただろうか。これからは食(欲)の秋、特にクリスマスシーズンにお菓子がいろいろ出てくるので、必ずやみなさんの心を射止めるようなドイツグルメをご紹介できる日は来るはず。
年が明けたら東京でとっておきのドイツ料理をみんなで作る教室も今こっそり計画中だ。
writer:Fumi
ドイツ在住、Gourmieオーナー。10代の頃から、フランス、スイス、ドイツ、オーストリアなどヨーロッパ各地に住み、遊学。現在はベルリンとウィーンを拠点に、スイーツやデリなどのメニュー開発及びケータリングに携わる。2013年から始めた日本文化を気軽に楽しむことができるお料理教室は、ベルリンやウィーンで人気に。趣味は、読書、美術鑑賞、食べること。
HP:Gourmie / Instagram: gourmiefumi