HAPPYさがしてヨーロッパ
クリスマスの幸せをさがして
writer:Fumi
世界中、12月というとまさに師匠も走り回るほどの忙しさ。浮かれ気味のハッピーな賑やかさ、仕事納めに追われる慌ただしさ。こちら、1年のハイライトであるクリスマスを間近に控え、いつものドイツらしい落ち着きをすっかり失っている。
ヴァイナハト。ドイツ語でクリスマス。やたら貫禄のある言葉だ。
12月はクリスマスだけではない。12月6日の『聖ニコラウスの日』までしっかり祝う地域もある。信仰心の強いオーストリアではこの日、サンタクロースのお供として『クランプス』という鬼が登場する。秋田県のなまはげを想像していただきたい。こちらも悪い子を捕まえて行いを戒めるのが務めだ。
悪い子を入れて連れ去る用の籠を背負って現れる。実物はまだお目にかかったことはないのだが、写真を見る限りけっこうリアルで恐い。
クリスマス前の四週間はアドヴェントといって、キリストが降りてくるのを待つための期間。これが始まるとドイツ人は週末にせっせとクッキーを焼くのが習慣。
家族やお友達で集まって作るのだが、始まってしばらくするとみな集中しすぎて無口になり、その様子はクッキー工場。作る量がすごい。なのでこの時期スーパーではバターが山積みの安売りとなる。バター危機の日本におすそ分けしてあげたいほど。いっぱい焼けたら友達に配るだけでなく、クリスマスまでひたすら食べ続ける自給自足な面もある。
ブダペストのクリスマスマーケットは可愛らしいなぁと羨ましく本宮さんの記事を読んだところ。本家であるはずのドイツのクリスマスマーケット、ベルリンでは大衆化しすぎて安っぽい屋台化が著しい。
テトラパックから注がれた安ワインに砂糖をどっさり入れて温めただけのホットワインで酔いつぶれたご機嫌な人々で溢れ、屋台となる木の小屋では酔っ払っていなければ買わないようなグッズが売られている。それでもせっかくだからと一度くらいは行きたくなるのがクリスマスマジックか。
と、クリスマスに至るまで盛り上がりを見せる数週間だが、いざクリスマスになると腰が抜けるほど質素になる、という気がしてならない。
それは旧東ドイツだったベルリンのせいなのかもしれないが、クリスマスのご馳走が食卓に並ばない。ミートボールとポテトサラダが出てきたので、前菜からやたら肉々しいなぁと思っていたら、それで終わってしまったということがあった。クリスマスケーキに期待したら、前日まで食べていたクッキーやシュトレンの食べ残しが登場した。
フランスのクリスマスの場合、この日のために一ヶ月分の食費を割いたのでは、と思われるご馳走が登場して、ビュッシュ・ド・ノエルというクリスマスケーキでしめるというのがごく普通だった。所変われば、と食文化の違いに再度驚く。
だからというわけではないが私はこれから逃げるように日本へ里帰りする。新年が明けて1月14日(土)東京で、このコラムで度々語ってみたドイツ・アルプスの味を日本で再現すべく、料理教室を開催することになっているのだ。
さて、今年のコラムはこれが最後。毎回読んでくださった方、今回初めての方、ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
ビール片手にFumiと楽しむドイツ・アルプス料理教室
Fumiとドイツ人のご主人が来日します。ドイツやオーストリアのデリやカフェなどに料理を提供しているFumiが、ドイツ・アルプス地方の料理を皆様にお教えします。当日はドイツ人のご主人がセレクトしたビールを飲みながら、ドイツ話に花を咲かせてみませんか。
詳細
- 日時:2017年1月14日(土) 17:00~20:00 (16:45 受付開始)
- 場所:シャンブル・デ・エトワール (表参道駅徒歩5分)
(〒107-0061 東京都港区北青山3-15-13秀和北青山レジデンス601) - 会費:6,500円(税込)
※レッスン受講料(前菜・メイン)・レシピ・食事代・ドイツビール・ソフトドリンク含む、ビールおかわりは+500円 - 持ち物:エプロン、ハンドタオル、筆記用具
- メニュー:
【前菜】オーストリア風パンプキンスープ
【メイン】アルプス地方伝統のジャガイモ料理『クヌーデル』ザウアークラウト添え(ベジタリアンにも対応)
【デザート】ドイツのクリスマス菓子『シュトレン』(シュトレン発祥の地ドレスデンのオリジナル)
【飲み物】ドイツビール、ソフトドリンク各種(ベルリン出身のドイツ人夫のビールトークもあり) - お問合せ先:fumi@gourmie.de(ドイツ・アルプス料理教室事務局)
※必ず24時間以内に返信があります。返信なき場合はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
writer:Fumi
ドイツ在住、Gourmieオーナー。10代の頃から、フランス、スイス、ドイツ、オーストリアなどヨーロッパ各地に住み、遊学。現在はベルリンとウィーンを拠点に、スイーツやデリなどのメニュー開発及びケータリングに携わる。2013年から始めた日本文化を気軽に楽しむことができるお料理教室は、ベルリンやウィーンで人気に。趣味は、読書、美術鑑賞、食べること。
HP:Gourmie / Instagram: gourmiefumi