HAPPYさがしてヨーロッパ
ドイツの味をさがして
writer:Fumi
新年がスタートしたと思ったらすでに1月も終盤。師走に負けないくらい時が経つのが早い。
さて去年、ヨーロッパのクリスマスの喧騒から逃げるように日本に帰国し、のんびりとお正月を過ごし、暖かな冬を存分に満喫してきた。帰ってきてみればベルリンは最高気温も氷点下の寒空だ。本当に寒い。
今回は東京でドイツ料理教室を開いてきた。提案された時は、「はてドイツ料理とは。」とアイデアが浮かばず困った。
日本で知られているドイツ料理はソーセージとザウアークラウト止まりで、実際美味しいドイツ料理が本国にもない、というのが現状だからだ。
テーマは『アルプス地方のドイツ料理』と決まったものの
始めは私が住んでいるベルリンの料理を、と思ったのだが、おいしいものが見当たらない。カレー粉のかかったソーセージだったり、ドーンと肉の塊だったりして繊細さに欠ける。火を通すだけで、これでは料理教室として成り立たない。
ちょっと視点を南方へ移すことにした。ビールのオクトーバーフェストなどでも有名なミュンヘン、バイエルン地方へ行くとおいしい地方料理が俄然増えてくる。しかしこの辺でも肉料理が多く、時間の限られた教室に向かない。
ウィーンに住んでいた頃、美味しいものを飾らずに日常的に食べていたことを思い出した。その土地の野菜が新鮮で豊富なオーストリアではさりげない料理がとってもおいしい。
というわけで数ヶ月に渡りギリギリまで悩み続けたメニューは『オーストリア風パンプキンスープ』、『アルプス地方伝統のジャガイモ料理 【クヌーデル】 ザウアークラウト添え』となった。もっと作りたい気持ちは三時間にぐっと凝縮することにした。
ドイツにも花をもたせたかったのでデザートはシュトレンに。これはベルリンの近くのドレスデンの自慢の名物だ。
教室を開いてみれば
いよいよ案がまとまったものの、企画者だけの身内お食事会になってしまうのではないか、人が集まってくれるのか、と不安であった。
料理教室当日、蓋を開けば超満員御礼。眺めのいい表参道のスタジオでワイワイと活気あふれる雰囲気に。思いがけなく料理男子たちの参加もあり、色とりどりの顔ぶれとなった。
始めは緊張感があり、私の話をみな一言漏らさず聞いており、こちらもかなり背筋が伸びる思いだった。しかし、一緒に野菜を刻み、一緒にコトコト煮込むうちに、参加者同士もかなり打ち解けて、最後には「誰も私の話なんぞ聞いてないのでは」という楽しい状況になったほど。
今回こうしてドイツ料理を日本でちょっと紹介して感じたこと。ドイツ料理の知名度はかなり低いようだ。お隣のフランスやイタリアのご馳走を前にしたら歯が立たない、というのが正直なところだが、これをバネにしてもっともっと無名の美味しさを日本で紹介していけたら、と思っている。
今年もどうぞよろしくお願いします。
writer:Fumi
ドイツ在住、Gourmieオーナー。10代の頃から、フランス、スイス、ドイツ、オーストリアなどヨーロッパ各地に住み、遊学。現在はベルリンを拠点に、スイーツやデリなどのメニュー開発及びケータリングに携わる。2013年から始めた日本文化を気軽に楽しむことができるお料理教室は、ベルリンやウィーンで人気に。趣味は、読書、美術鑑賞、食べること。
HP:Gourmie / Instagram: gourmiefumi