おとなの可愛げキモノ帖
旬を楽しむ桜柄。 着るタイミングは?おしゃれのコツは?
writer:半澤リカ
春霞 たなびく山の 桜花 見れども飽かぬ 君にもあるかな
(春霞がたなびく山の桜花のように、いくら見ても飽きないあなたです。)紀友則 『古今和歌集』 巻第十四恋歌四
今年も桜の開花が待ち遠しい季節になりました。日本人なら誰でもゆかしく思う花、桜。今回は桜をキーワードに、季節感のおしゃれな取り入れ方とTPOを考えてみましょう。
『過ぎ去った季節の後』に着なければよし
季節感のあるアイテムを身に着けるときには、ちょっと早めがおしゃれだと言われています。その装いを見る人、また、着る本人も、これから訪れる季節のイメージを膨らませることが粋ではないでしょうか。
ただ、いつからいつまで、ときっちり決めてしまうと楽しめる時期がとても短くなってしまいます(桜の種類や場所により開花時期も微妙に異なりますしね)。ですから、もうさすがに終わっただろう、と感じる季節より前に着ればよいですよ、と私はご提案するようにしています。<花が散った後に名残をのこさない>クリスマスが終わった後にまだ飾られているクリスマスツリーのように旬を外さなければよいのです。
季節限定アイテム 見極めの3ポイント
桜は日本の国花でもあることから、この写真のように図案的に描かれた桜柄の着物は通年着用可と言われています。しかしながら『桜だけで他の花が描かれていない』『枝つきで描かれている』『図案的ではなく写実的に描かれている』にひとつでもあてはまる場合には、季節の花の与える印象が強いため、シーズンより少し前からオンシーズンの着用をおすすめします。上の写真の着物は、桜の花が図案的にデザインされているので、このような柄は通年着用できます。
季節をさりげなく『感じさせる』着こなし方
桜の時期に「装いにも桜気分をプラスしたい」「桜気分を楽しみたい」という方はたくさんいらっしゃいます。おしゃれの見せ所は、ずばり小物と色のチョイスです。桜柄の着物を着ずに、あえて桜を小物や色で楽しむのはいかがですか。
お花見を着物で楽しむ場合は、『桜の着物に桜の帯』だとちょっとしつこいですよね。ちょこっと桜の帯留めや帯揚げなどの小物に桜柄をもってきた方が断然、おしゃれ感がでること請け合いです。桜色の小物をあわせるだけでも十分季節を満喫できますよ。『花の盛りに花と競わない』という着物ならではの美学です。
時・場所・着用目的を踏まえた上で、自分らしさを
着物をあつかう仕事をしていて、いろんなエピソードをお客様から拝聴します。
真冬だったけれども、海外の方々とのパーティーに、華やかな桜の訪問着を着て行ったら、大変喜ばれた。
入院中のおじいちゃんに、桜の帯を締めて会いに行ったら、「お花見みたいだね!」と喜ばれた。
観劇の演目が桜にゆかりがあったので、桜色の帯締めで色を足してみた。
着物のコーディネートを考えるのはコミュニケーションの手段のひとつだと思います。着ていく場所、誰とおでかけして、どういう目的なのか。
フォーマルシーンでは、自分の装いで周りを不愉快にしないよう気を付ける必要があるかもしれませんが、普段の着物は普段のお洋服のコーディネートと一緒。誰からもとがめられることはありませんので、自由に楽しんで大丈夫です。
季節のうつろいに五感を傾けながら自分の装いを楽しんで、喜んでくれる人の顔を思い浮かべてコーディネートできたら一番素敵なのではないでしょうか。
写真協力:すべて『たんす屋青山店』
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(申込欄の『ご案内希望店舗』は<青山店>をご選択いただくとスムーズにご案内できます。)
writer:半澤 リカ
着物スタイリスト、たんす屋青山店ショップオーナー、伝統色彩士協会認定講師。青山学院大学在学中に着物のファッショナブルさに目覚める。その後、セレクトショップ勤務を経て、大手リサイクル着物会社に就職。あらゆる着物の仕入れ、販売、着付け、スタイリング、メンテナンスのアドバイスに10年携わる。日常のおしゃれの中に自分らしいきものを!がテーマ。趣味は、美味しいものを食べること。温泉。
Instagram:rikahanzawa_kimono