ほんのかくし味
あじさいの咲くころに。
2016.06.01
writer:豊田希
新緑のころが過ぎ、雨の季節がやってくる
緑が美しいこの季節、陽射しを受けてキラキラ輝く木の葉は、見た者の心に力強いエネルギーを与えてくれる。しかし、いつの頃からだろう。『いい時期』が短いと感じるようになったのは…。暑さが増すだけでなく、雨と湿気に悩まされることも多くなる。さらっとさわやかな5月とは真逆の煩わしさだ。
ただひとついいこと。それは電車の車窓に映える、雨に濡れたあじさいの美しさ。あじさいは、日本最古の和歌集である万葉集にも、その美しさを謳われた花。土壌の酸性度によって色を変えていくこの花のドラマチックさは昔も今も変わらない。
花の色が変わるのは美しいけれど…
pongmoji / 123RF 写真素材われわれ人間にとっては、そろそろ日焼けが気になる時期だ。真夏と、春から初夏にかけての紫外線量を比較すると、圧倒的に春から夏にかけての方が多いのは今や常識。百貨店の化粧品売り場もドラッグストアも、UV対策商品がまさに百花繚乱。
昔は日焼け止めなんてショーケースの端に、申し訳なさそうにおいてあるだけだった。「せっかくの夏に日焼け止めだなんてどうかしてるゼっ」時代は遠い昔話で、中学生の夏に紫外線アレルギーを発症した私にとっては、あれよあれよという間に選択肢が増えた時代の変化に驚いたほどだ。サザンオールスターズの歌で「太陽は罪な奴」という歌があるが、美容の観点からみたら『罪』の意味が大きく変わった20年なのかもしれない。
男性諸君にも告ぐ?!
今年の夏の天気予測が報じられると、各百貨店やネット上でも多くの紫外線対策商品や猛暑対策商品の売上が急上昇する。特にサングラスや日傘、帽子などは、『UV加工』のひとことでおもしろいほど売れ、売上記録を何年も更新し続けているというデータもあるとか。
最近では男性用の日傘も需要が増え、街中で日傘をさす男性を見かけることも増えてきた。女性にとっては今や当然と思われる紫外線対策だが、男性にとっても健康維持に欠かすことのできないものとして定着する日が近いのかもしれない。
おいしく紫外線対策したい!
外からの紫外線対策も大事だけれど、体の内側からも紫外線対策をしたいものだ。浴びてしまった紫外線をなかったことにするのは難しくても、紫外線に強い体にすることは、今日からできる。ここでまとめておこう。効果的な紫外線対策として、ぜひ食べていただきたい。
- 紫外線を受けた肌の深部でシミやソバカスの原因となるメラニン色素が生成されるのを防ぐビタミンC:トマト、ブロッコリ-、パプリカ、くだもの類
- 肌の老化や肌荒れを防ぐ効果が期待できるβ-カロテンやビタミンE:にんじん、かぼちゃ、しそ、バジルなどの緑黄色野菜(β-カロテン)、ナッツ、アボカド、うなぎ、魚卵類(ビタミンE)
- 肌の新陳代謝を促進するビタミンB2:牛豚鶏レバー、うなぎ、納豆、卵、乳製品
これらを念頭に、ビタミンCやβ-カロテン、ビタミンEをたくさんとることができる超簡単万能だれをご紹介しよう。サラダはもちろん、肉料理やシーフードにそのまま使えるので常備しておきたい。
すりおろしにんじんドレッシング
【材料】 にんじん 1本分 にんにく、生姜 各1片 好みのナッツ 大さじ2杯
レモン果汁 1個分 EXバージンオリーヴ油 大さじ4杯 砂糖 大さじ1.5
塩、胡椒 少々(好みでカレー粉、マスタード、わさびを加えてもよい)
- にんにく生姜をみじん切りにし、サラダ油(分量外)で香りが立つまで炒める。
- 1とそれ以外の食材をすべてミキサーに入れ、なめらかになるまで撹拌する。
【保存】 冷蔵庫で3~4日、冷凍庫で1週間ほど。冷蔵庫で解凍すること。
紫外線対策のほんのかくし味。
デメリットばかりが着目される紫外線だが、当然われわれにうれしい効果もある。紫外線を浴び、体内でビタミンDが合成されることによって、骨が形成され、骨粗鬆症の予防にもなるし、免疫力を高める効果も確認されている。
空に太陽がある限り、上手につきあっていけばいいということ。
そしておいしく楽しくつきあうことが長続きの秘訣であるということ。
「カラダにいいことをした」という気持ちの健康で、さらに美しくなってやろうではありませんか。
writer:豊田希
勝負料理研究家。自らの料理教室Studio CREATABLEで、日常からおもてなしまで季節に合わせた料理を提案するほか、クックパッド料理教室にも加盟し、基礎に特化したレッスンを開講中。 2004年から料理研究家としての研鑽を積む。専門はフランス菓子。パリへのお菓子留学を通して、街、人、食、文化に強く惹かれて以来、エスプリをキャッチするため毎年パリを訪れるパリ愛好家でもある。 「勝負料理はありますか?」がテーマ。趣味は、食べ歩き。街歩き。観劇。