アロマと石鹸の物語
ミントの物語(2)│ミントの上手な取り入れ方
writer: AYAMI
今、再び天然のミントが脚光を浴びている。近年ではアロマオイルを取り扱っている専門店もたくさんあるので、ミントのアロマオイル(以下、ミントオイル)を探すことも以前より簡単になったかもしれない。
もし手に入りにくい場合は、薬局で「ハッカ油」を探してみると良い。こちらの方が値段も安いし、入手しやすいのでおすすめだ。ハッカは和種のミントなので同様の効果が得られる。スースーする主要成分のメントールの量は、ミントよりハッカの方が多いので(c)、より鼻づまりやのどの痛みも和らぐかもしれない(a)。ハッカ油は食品添加物指定なので、紅茶に入れればミントフレーバーになる。コップ一杯の水にハッカ油を一滴垂らすと、殺菌作用のあるうがい薬を簡単に作ることができる。マウスウォッシュとして使っても良いだろう。
最近では天然香料でできた防虫剤も見かけるようになってきたが、そういった商品にはだいたいミントが入っている。ミントには、ゴキブリや蚊、ブヨなどの虫除け効果がある(b)。夏にキャンプに行く時は、ミントオイルをエタノールと精製水で割ったスプレーを持参するのだが、合成成分でできた虫除けと同じくらいの効果を発揮してくれる。網戸に吹きかけるのも良いだろう。ただし、ミツバチはミントの蜜を目当てにやってくるので、ハチがいる場所での使用は注意が必要である(a)。
夏にミントオイルをお風呂に三滴垂らし、清涼感のある入浴剤にするのもお気に入りの使い方だ。この時にミネラルがたっぷり含まれた食用の塩にミントオイルを垂らしておくとアロマバスソルトになる。袋にコンスターチをカップ一杯とミントオイルを数滴を入れ、振って混ぜれば、清涼感あふれるパウダーができる。あせもが気になったり、汗がひかない時におすすめだ。
殺菌消臭効果もあるので、ごみ箱や下駄箱、トイレなど、臭いの気になる場所にも良い。無垢の角材やテラコッタの陶器のかけらにミントオイルを数滴垂らしておけば、ナチュラルなアロマポットになる。無香料の液体せっけんやシャンプーの中に数滴入れれば、ミントの香りのするちょっと高級なせっけんやシャンプーにもなる。また、ミントオイルを垂らした水で作ったおしぼりは、暑い時期の来客に喜ばれるだろう。
ミントはハーブティーとして取り入れるのもおすすめだ。メントールが鼻づまりを解消し、麻酔作用によってのどの痛みも和らぐ(a)。ミントだけでは苦手という方は、お気に入りのお茶にミントティーをブレンドすれば、とっても美味しいブレンドティーができる。紅茶、緑茶、ほうじ茶、買ったけど美味しくなかったハーブティーなど、何にブレンドしても合い、味が格段に良くなる。モロッコのように、緑茶にミントティーと砂糖を入れて作るのも良いかもしれない。モロッコでは友好の証として客にこのお茶をふるまうという(a)。それでもミントティーが余ってしまったら、お風呂に入れたり、足湯に浮かべて使おう。茶葉をお茶パックに入れて使うと、掃除が楽だ。
のど飴、リップクリームなどにも配合されているミント。購入の際は合成香料ではなく、天然のミントオイルかミントの主要成分のメントールが配合されていることを確認して買うのが重要だ。最近では合成ではないことをデカデカとパッケージに書いていることが多いので、見つけるのもさほど難しくないだろう。
参考文献
- ナンシー・J・ハジェスキー、他(2016)『ハーブ&スパイス大事典』 日経ナショナルジオグラフィック社
- 『「ゴキブリに効果あり!」でハッカ油が再ブーム』 おたくま経済新聞 2016/6/14配信
- 前田京子(2014)『はっか油の愉しみ』 マガジンハウス
writer:AYAMI
アロマティシアのオーナー。『香りと暮らし研究家』として活動。2011年より『アロマティシア』を立ち上げ、香りや自然を取り入れた暮らし方について伝える講座や活動をしている。趣味はキャンプで、週末は森の中で過ごすことが多い。