ハンガリー生活、はじめました

ハンガリー生活、はじめました

ブダペスト在住ライター 本宮じゅんが綴る、ハンガリーでの日常生活エピソード。ヨーロッパの真ん中で独自の発展を遂げたこの国の観光名所やイベント、グルメ事情などを自らの体験を交えながらご紹介します。

温泉のある生活

2017.10.18

温泉のある生活

ハンガリーは温泉大国でブダペストには五十以上の施設がある。温水プールのようなこちらの温泉は、人々の生活の中にもしっかり根付いており、観光客にも人気だ。日本とは違うハンガリーの温泉事情をご紹介します。

アイスクリームのある生活

2017.09.20

アイスクリームのある生活

ハンガリーでは夏になると街中にアイスクリームの屋台が次々と増える。老若男女問わず大きなアイスクリームが乗ったコーンを片手に食べながら街を歩いている。ハンガリーのアイスクリーム事情をご紹介します。

バラトン湖のある生活

2017.08.09

バラトンのある生活

ハンガリー語には、「夏の休暇を過ごす」という意味の動詞がある。休暇先を過ごす場所として国内で最も人気なのが、ハンガリー最大の湖であるバラトン湖。ハンガリー人の夏の休暇の過ごし方についてご紹介します。

クレーメシュのある生活

2017.07.12

クレーメシュのある生活

ハンガリーにはクレーメシュという薄いパイ生地にクリームが挟んであり、粉砂糖が振りかけてあるケーキがある。筆者がここ最近カフェで必ずといってもいいほど注文している、クレーメシュについてご紹介します。

市場のある生活

2017.06.14

市場のある生活

ブダペストには「中央市場」をはじめ常設市場が数多く点在していて、人気の観光スポットになっている。地元の人とさりげない交流ができ、筆者にとって欠かせない存在になっている市場についてご紹介します。

ボガーチャのある生活

2017.05.24

ボガーチャのある生活

ポガーチャとはハンガリー名物のスコーンのような小さなパン。スコーンよりも食感がモチモチしており、チーズ味やベーコン味などもある。ハンガリーで大好きになったポガーチャについてご紹介します。

色とりどりの花のある生活

2017.04.19

色とりどりの花のある生活

ブダペストに春が訪れると色とりどりの花屋のディスプレイが目に飛び込んでくるようになった。冬の間は閉めている店もあったが、今は街のいたるところで花屋を見かける。ブダペストの花事情をご紹介します。

フォアグラのある生活

2017.03.15

フォアグラのある生活

ハンガリー生活を始める決意に背中を押したのはフォアグラだった。初めて訪れた時、人生を変えたフォアグラに出逢った。ハンガリーはフォアグラの名産国。安く美味しくフォアグラを楽しむ方法をご紹介します。

壁画のある生活

2017.02.15

壁画のある生活

ブダペストに来て壁画の多さに驚いた。壁画を探して写真に撮るのが楽しみになった。壁は巨大なアートでびっくりするような絵やメッセージが描かれていることも。歴史的ユダヤ人地区の壁画の謎についてご紹介します。

パプリカのある生活

2017.02.01

パプリカのある生活

パプリカはハンガリー料理には欠かせない。辛いパプリカ、甘いパプリカ、粉のパプリカ、色とりどりのパプリカ、色々なパプリカがハンガリーにはある。ビタミンCの発見とも関係の深いパプリカの世界をご紹介します。

クリスマスマーケットのある生活

2016.12.07

クリスマスマーケットのある生活

ブダペストに来て初めてのクリスマス。クリスマスマーケットが街中で開催されている。最も大きな規模で『ヨーロッパで最も魅力的なフェア TOP10』にも選ばれたヴェレシュマルティ広場の様子をご紹介します。

トラムのある生活

2016.11.16

トラムのある生活

ブダペストに来てから三ヶ月が経過して、初めての場所でもトラムで難なく訪れることができるようになった。こちらでは二十六系統ものトラムが街中を縦横無尽に走っている。 ブダペストのトラム事情をご紹介します。

ワインのある生活

2016.10.12

ワインのある生活

ブダペストに来てワインを飲むようになった理由はとても美味しく安いから。ここにはワインの名産地が二十以上ある。国内外の約百五十のワイナリーが出店するブダペスト・ワインフェスティバルの様子もご紹介します。

ドナウ川のある生活

2016.09.14

ドナウ川のある生活

初めてハンガリーの首都ブダペストを訪れた日から一年。お世話になった人々や住み慣れた街に未練を残しながらブダペストでの生活を始めることとなった。ドナウの真珠と呼ばれる世界遺産、ブダペストの街並みをご紹介します。

motomiyajun

writer:本宮じゅん

2016年7月末にハンガリーのブダペストに移住したばかりの新米ライター。大学在学中に1年間ドイツのライプツィヒ大学に交換留学し、卒業後は外資系化粧品メーカー・広告代理店・外食産業と、業界が違いながらも通算14年近くマーケティング業務に携わった後、ハンガリーのブダペストへ。趣味は料理、街歩き、街歩きのついでに飲むビール。

blog:ドナウの東か、遥かもっと東から
twitter:@motomiyajun3  / Instagram:motomiyajun

アイスクリームのある生活

2017.09.20
writer:本宮じゅん

ドイツに留学していた頃も驚いたものだったのだけど、ここハンガリーでも夏になると街中にアイスクリームの屋台が次々と増える。ふと行列ができているのを目にすると、だいたいその先にはアイスクリーム屋さんだったりする。何より驚きなのが、老若男女問わずその列に並んでいることだ。小さな子供はもちろん、お年を召した男性や女性も大きなアイスクリームが乗ったコーンを片手に食べながら街を歩いている。まるで全世代と性別共通の、夏必須のファッションアイテムみたいだ。

Ristrante Colosseum Budapestのアイスクリーム
Ristrante Colosseum Budapestのアイスクリーム

美味しいハンガリー料理のせいにはしたくないのだけど、ハンガリーに来てからすっかり体重が増えてしまったので、本気でダイエットに励んでいたはずの私も、すっかり誘惑に負けてしまい、街中で屋台を見かけるたびにアイスクリームを買って食べるようになった。

特にお気に入りなのが、語学学校の建物の地上階にあるカフェのアイスクリーム。二十種類くらいあるうえに、一スクープあたりの大きさがとても大きい。夏が始まりかけた頃は一スクープ300フォリント(約129円)だったのが、なぜか八月の半ばには250フォリント(約108円)に値下げしていた。どうせ飛ぶように売れるのだから、値下げしても影響ないのかもね。

このお店で注文するのは、いつもレモンチェッロ味か写真のミント味。甘すぎず後味もさっぱりなのが嬉しい。甘すぎない分カロリーも控えめだともっと嬉しいのだけど。

Nándori Cukrászdaのアイスクリーム
Nándori Cukrászdaのアイスクリーム

小腹が空いた時は迷わずピスタチオ味を選ぶ。ピスタチオのこってり濃厚な味をじっくり堪能しながら歩く。写真のお店は偶然通りかかって立ち寄ったのだけど、後で調べてみたらブダペストでも人気のケーキ屋さんの屋台だった。確かにさすがのクオリティの高さだった。

Levendula kezműves lagylaitのアイスクリーム
Levendula kezműves lagylaitのアイスクリーム

先日、前から気になっていたラベンダーのアイスクリームのお店にも立ち寄ってみた。ゆっくり味わいたかったのでカップで購入。見た目は普通のバニラ味に見えたが、口に含むとふわっとラベンダーの味が広がった。不思議な感覚だった。

このお店もそうだったのだけど、フレーバー名のプレートに「シュガーフリー」「グルテンフリー」「ラクトースフリー」などを表示しているお店もよく目にする。それぞれについて摂取を制限している人においても、安心して楽しめそうだ。

ガイドブックやネットの情報によると、綺麗なバラの花の形に盛り付けてくれるお店や、真っ黒な炭のアイスクリームなど変わり種が特徴的なお店など、ブダペストにはほかにも魅力的なお店が数多くあるようだ。本格的に寒くならないうちに、まだまだ開拓してみようと思う。

Ristrante Colosseum Budapest
1056 Budapest, Váci utca 63, Hungary
+36-30-565-0133
営業時間:月~日 11:00~23:00
※夏季のみアイスクリームを販売

Nándori Cukrászda
1092 Budapest, Ráday utca 53, Hungary
+36-70-9770-100
営業時間:月~土 7:30~19:00 (日曜定休)
※夏季のみアイスクリームを販売

Levendula kezműves lagylait
※ブダペストをはじめ、ハンガリー各地に約二十店舗展開。
※アイスクリームは通年販売

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writer:本宮じゅん

2016年7月末にハンガリーのブダペストに移住したばかりの新米ライター。大学在学中に1年間ドイツのライプツィヒ大学に交換留学し、卒業後は外資系化粧品メーカー・広告代理店・外食産業と、業界が違いながらも通算14年近くマーケティング業務に携わった後、ハンガリーのブダペストへ。趣味は料理、街歩き、街歩きのついでに飲むビール。

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当ウェブサイトに掲載されているコンテンツは著作権法により保護されており、許可なく複製・転用などすることは法律で禁止されています。当ウェブサイトの内容を、ブログ・他のウェブサイト・雑誌・書籍などへ転載・掲載する場合は、事前に必ずアロマティシアまでご連絡下さい。

バラトン湖のある生活

2017.08.09
writer:本宮じゅん

ハンガリー語には、「ニャラル(nyaral)」という「夏の休暇を過ごす」という意味の動詞がある。冬が長いヨーロッパの他の国々と同様、ハンガリーでも人々にとって夏は貴重な季節。六月の終わりともなると周りでもちらほらと夏休みを取る人が増え、八月の今はまさにシーズン真っ盛りだ。Facebookのタイムラインでも、友人たちがそれぞれの休暇先でエンジョイしている写真が次々と並んでいる。

休暇先を過ごす場所として国内で最も人気なのが、ハンガリー最大の湖である「バラトン湖(Balaton)」。七月に開催された世界水泳選手権でも一部会場になっていたので、その名を耳にしたことがある方も多いかもしれない。ブダペストから南西に130キロメートルに位置している横に長い形の湖で、長さは約78キロメートル、面積は約600平方キロメートルもある。琵琶湖より少し小さいサイズだ。

内陸国で海のないハンガリーでは、バラトン湖は「ア・マジャル・テンゲル(a magyar tenger)」、つまり「ハンガリーの海」として親しまれている。この七月、ほとりのとある町に別荘を所有している友人に招待されて、初めてその雄大な姿を見ることができた。

バラトン湖にて
バラトン湖にて

高台にあるその別荘からは、湖の反対側までくっきり見えた。時間の流れとともに空の色が変わり、空の色が変わるとともに湖面の色も変わる様子がとても美しくて、そのさまざまな表情をテラス席に座ってただ眺めているだけでも全然飽きなかった。時折、ヨットを楽しむ人々の姿も見えた。流れは穏やかとはいえ、湖でなくて本当に海のように見えた。

夕暮れ時のバラトン湖
夕暮れ時のバラトン湖

友人たちは一週間ここに滞在し、途中湖や近くの町まで出かけたり、庭でバーベキューをしたり、テラスで読書をしたりと、日常のことを忘れてとにかくゆっくり過ごすとのことだった。もし一週間休暇が取れたら、私だったら飛行機に乗って外国に行って一泊か二泊ごとに別の街を訪れて、という慌ただしい過ごし方しか頭に浮かばないのだが、彼らからしてみたら、一箇所に落ち着いてのんびり過ごすというスタイルがスタンダードのようだ。ちなみに一週間というのは短い方のようで、二週間、三週間と休暇を取る人もいるらしい。

バラトン湖周辺のグルメガイド
バラトン湖周辺のグルメガイド

翌日の夕方に用事が入ってしまったので、結局一泊しかできなかったのだが、友人たちのおかげで私自身もすっかりリフレッシュしてブダペストに戻った。戻って早々、たまたまハンガリー語の料理雑誌を買ったところ、なんとバラトン湖周辺都市のグルメガイドがおまけに付いてきた。中でも厳選の360店を紹介している。パラパラとめくっていたところ、一軒家で雰囲気の良いレストランがいくつか目に入った。また、バラトン湖周辺にはワイン産地もあり、特に白ワインが名産だ。友人の別荘でも冷えた辛口の白ワインをいただいたのだが、上質な味わいがとても美味しかった。秋になったら、ワインがオススメのレストランにもぜひ訪れてみたい。

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writer:本宮じゅん

2016年7月末にハンガリーのブダペストに移住したばかりの新米ライター。大学在学中に1年間ドイツのライプツィヒ大学に交換留学し、卒業後は外資系化粧品メーカー・広告代理店・外食産業と、業界が違いながらも通算14年近くマーケティング業務に携わった後、ハンガリーのブダペストへ。趣味は料理、街歩き、街歩きのついでに飲むビール。

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クレーメシュのある生活

2017.07.12
writer:本宮じゅん

毎日良い天気で外を散歩するのが楽しくなってきた、というのはつかの間だった。日本は梅雨の季節、ハンガリーでは全国的に気温が三十度を超す日が続くようになり、六月というのにすでに夏まっさかり。湿度は低いので日陰にいると過ごしやすいものの、日向では太陽の光は容赦無く照りつけてきて、もうすっかり日焼けしてしまったくらいだ。あまりに暑くて、連日街中のアイスクリームの屋台の誘惑に負け続けているし、カフェに寄ってついつい長時間こもってしまうことも多くなってきた。

カフェ「Rétesbolt」にて
カフェ「Rétesbolt」にて

ここ最近カフェで必ずといってもいいほど注文しているのが、「クレーメシュ(Krémes)」。薄いパイのような生地でクリームが挟んであり、表面にたっぷりと粉砂糖が振りかけてあるケーキだ。大きく作ってあるのを、四角く切って売られている。ほんのりとバニラが香る中のクリームは、ナイフで切っても崩れない程度に硬さがあって、メレンゲが入っているからか、いわゆるカスタードクリームよりも甘さが控えめで全然しつこくない。サクサクした食感の生地との相性も抜群だ。そのため、暑い夏でも美味しくいただくことができる。

カフェ「Rétesbolt」のクレーメシュ
カフェ「Rétesbolt」のクレーメシュ

このケーキ、私はハンガリーに来て初めて見て食べたわけなのだが、実際はハンガリーだけではなくクロアチアやスロヴァキア、スロベニアなど、中央ヨーロッパの諸国に広まっていて、それぞれの国の言葉で名前があるようだ。先日クロアチアに旅行した際に入ったカフェでも「クレムシュニタ」という名前でメニューに載っていた。普段ハンガリーで食べているものと大きな違いは感じなかったのだけど、店によってのレシピの違いはあるかもしれない。

クロアチアの「クレムシュニタ」
クロアチアの「クレムシュニタ」

ちなみに、中央ヨーロッパ諸国で共通のケーキやお菓子はクレーメシュだけでなくて、他にもいろいろと耳にする。周辺の国々を旅行して、各地で食べ比べしてみるのも面白そうだ。

カフェ「A Cappella Cukrászda és Kávéház」のアーモンドのクレーメシュ
カフェ「A Cappella Cukrászda és Kávéház」のアーモンドのクレーメシュ

オーソドックスなクレーメシュはもちろん、アーモンドやキャラメルがトッピングされているもの、フルーツのジャムが一緒に挟んであるものなど、さまざまなバリエーションのクレーメシュにも出会える。カフェに次々とやってくるお客さんの中には、こうしたクレーメシュを数人分テイクアウトしている人も多い。お孫さんとおぼしき小さな子供と一緒に袋いっぱいに買って帰る婦人を見ていると、その嬉しそうな様子がとても微笑ましくて、こちらまで幸せな気分になる。この美味しさ、ぜひ日本にもお届けしたい。

Rétesbolt
6720 Szeged, Kígyó utca 1, Hungary
+36-20-954-0304
営業時間:月~金 8:00~17:00 土 8:00~13:00(日曜定休)

A Cappella Cukrászda és Kávéház
6762 Szeged, Kárász utca 6, Hungary
+36-62-559-966
営業時間:月~日 7:00~22:00

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writer:本宮じゅん

2016年7月末にハンガリーのブダペストに移住した新米ライター。大学在学中に一年間ドイツのライプツィヒ大学に交換留学し、卒業後は外資系化粧品メーカー・広告代理店・外食産業と、業界が違いながらも通算十四年近くマーケティング業務に携わった後、ハンガリーのブダペストへ。趣味は料理、街歩き、街歩きのついでに飲むビール。

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市場のある生活

2017.06.14
writer:本宮じゅん

夏が近づくにつれて、太陽の光がどんどんまぶしくなりつつあるブダペスト。すっかり日が長くなって夜の二十時を過ぎても明るいので、いつの間にか遅い時間になっているのに気づいて、びっくりすることもしばしばある。街の中心地はますます世界中からの旅行者であふれるようになり、人気の観光スポットでもある「中央市場」もいっそう混雑するようになった。

観光客で賑わう「中央市場」

ブダペスト中央市場
ブダペスト中央市場

ブダペストには「中央市場」をはじめ常設市場が数多く点在していて、それぞれの特徴は様々だけど、どの市場でもだいたい主に生鮮食品、保存食品、雑貨、民芸品などの商店が並んでいる。特に野菜や果物のディスプレイは、季節によってガラリと変わるのが、見ているだけでも面白い。お店によっても取り扱っている商品が違うので、例えばパプリカならこのお店、ホウレンソウならそのお店、マッシュルームならあのお店と、買い物をする時はお店を選ぶのも楽しんだりしている。

穴場スポット(?)「ホルト通りベルヴァーロシ市場」

ホルド通りベルヴァーロシ市場
ホルド通りベルヴァーロシ市場

市場では買い物だけでなく、場内の飲食店で食事を楽しめるのも魅力だ。先日、日本から父がやってきた際、ランチに行こうとしていたレストランがなんと一時間待ちとのことだったので、ほかを探そうと歩いていたところ、偶然「ホルド通りベルヴァーロシ市場」を見つけた。中に入ると一階も二階もフードコートのように飲食店が多く並んでおり、近隣の勤め人とおぼしき人たちで賑わっていた。

マルハペルケルト(Marhapörlölt)
マルハペルケルト(Marhapörlölt)

二階にあるお店に入って、「マルハペルケルト(Marhapörlölt)」という牛肉のパプリカ煮込みを注文。じっくり煮込まれていて、歩き疲れた身の隅々まで染み渡るような美味しさだった。こうしたハンガリー名物料理を気軽に味わえるのも嬉しい。英語メニューも置いてあったが、観光客の比率は「中央市場」よりずっと少ない印象だった。とても居心地の良い雰囲気だったので、これから少しずつ注目されていきそうな予感がした。

ハンガリー中部の都市ケチケメートの市場

ケチケメート市場(屋外)
ケチケメート市場(屋外)

最近は仕事でよく訪れるハンガリー中部の街ケチケメートでも、朝の時間を市場で過ごすようになった。ブダペストの「中央市場」に比べて規模は小さいものの、買い物に訪れる人々の数はそんなに変わらないのではないかと感じるほど、屋外も屋内もものすごい活気で溢れている。今の季節はお花を売る店やイチゴを売る店を多く見かける。鮮やかでみずみずしい赤い色が彩る景色にも、なんとなく元気をもらえる感じだ。

ケチケメート市場(屋内)
ケチケメート市場(屋内)

屋内は中央に野菜や果物、花や乾物のお店。それらを取り囲むように、壁側には肉屋やパン屋、雑貨屋、レストランなどが並んでいる。ケチケメート在住の方に教えてもらって、その中の朝食屋さんにはほぼ毎回足を運ぶようになった。店内はとても狭いがイートインコーナーがあり、老若男女様々な年齢層の利用客が入れ替わり立ち替わりやってくる。

市場内の朝食屋さん
市場内の朝食屋さん

「朝食屋」といってもメニューはバリエーション豊かでボリュームもたっぷり。一つのサンドイッチでも二人分くらいありそうな大きさだ。しっかり食べて一日の活力にしている。常連客が多いようで、だんだん顔馴染みも増えてきた。よくテーブルで相席する老婦人との会話の中で、場外でハーブ屋さんを営んでいることを最近初めて知ったりした。そんな地元の人とのさりげない交流ができるのも嬉しい。

スーパーでの買い物の方が便利といえば便利なのだけど、もはや私にとっても、市場は毎日の生活で欠かせない存在になっている。

ブダペスト中央市場(Nagy Vásárcsarnok)
1093 Budapest, Vámház krt. 1-3, Hungary
+36-1-366-3300
営業時間:月 6:00~17:00、火〜金 6:00~18:00、土 6:00~15:00(日曜定休)

ホルド通りベルヴァーロシ市場(Hold utcai Vásárcsarnok és Belvárosi Piac)
1054 Budapest, Hold utca 13, Hungary
+36-1-353-1110
営業時間:月 6:30~17:00、火〜金 6:30~18:00、土 6:30~14:00(日曜定休)

ケチケメート市場(Kecskeméti Piac)
6000 Kecskemét, Budai utca 2/a, Hungary
+36-76-503-210
営業時間:火〜金 5:30~14:00、土 5:30~13:00、日 5:30~12:00(月曜定休)

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writer:本宮じゅん

2016年7月末にハンガリーのブダペストに移住した新米ライター。大学在学中に一年間ドイツのライプツィヒ大学に交換留学し、卒業後は外資系化粧品メーカー・広告代理店・外食産業と、業界が違いながらも通算十四年近くマーケティング業務に携わった後、ハンガリーのブダペストへ。趣味は料理、街歩き、街歩きのついでに飲むビール。

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ポガーチャのある生活

2017.05.24
writer:本宮じゅん

イースターを過ぎた頃に再び冬の寒さが戻ってきて、四月とは思わない冷え込みに凍えながら過ごしていたけれど、五月に入って今度こそやっと春の陽気に包まれて、眩しく照らす太陽と、抜けるような青い空にも恵まれるようになってきた。外に出ると、相変わらず色とりどりの花たちが心を和ませてくれる(「色とりどりの花のある生活」参照)。あまりに過ごしやすいので、(ダイエットも兼ねて)日課にウォーキングを始めたくらいだ。

もうすぐブダペストに来てから十ヶ月になろうとしているのに、まだまだ新しい発見がたくさんある。例えば最近気づいたのは、どこからともなく漂ってくるパンの焼ける匂い。

そもそもブダペストでは、花屋と同様に街のいたるところにパン屋を見かける。その数はおそらく花屋の数よりも多いだろう。特に地下鉄の主要駅のコンコースではいくつかのパン屋が並んでいるので、地下への階段を降りる瞬間から漂うその香ばしく美味しそうな匂いに、つい一つ買ってみたくなったりする。

それがだんだん暖かくなってきて、街を歩いている途中でもその匂いを感じるようになった。春になって、空気も澄んできたからなのかもしれない。というわけで、パン屋につい立ち寄ってしまう回数も増えてきた。

語学学校に行く途中のパン屋
語学学校に行く途中のパン屋

語学学校に行く途中も、授業の合間の休み時間お腹が空いた時のために、パン屋でいくつか買い込んでおくことにしている。一番よく訪れるのがフェレンツィエク広場(Ferenciek tere)近くの「Fornetti Food & Beverage」というパン屋。店内は広くて置いてあるパンの種類も豊富。しかも、その名の通り飲み物も売っていて中にイートイン用のスタンドもあるので、時間がない時の軽い食事にも便利だ。

中でもお気に入りなのが、「ポガーチャ(pogácsa)」。だいたいどのお店でも個数あたりではなくグラム単位で売られていて、いつも200gほど買っている。

チーズのポガーチャ
チーズのポガーチャ

ポガーチャは、ハンガリー名物のスコーンのような小さなパン。イーストで仕上げているからなのか、スコーンよりも食感がモチモチしている。私が買うのはもっぱらチーズ味のポガーチャなのだが、ほかにもベーコン味なども売っている。焼き立てはもちろん、少し時間が経っても翌日になっても、どういうわけか冷めても変わらずに美味しい。ぱくぱく食べているうちに、あっという間になくなってしまう。

カフェ「EURÓPA KÁVÉHÁZ」のポガーチャ
カフェ「EURÓPA KÁVÉHÁZ」のポガーチャ

ハンガリーのカフェについても、いつかこの連載で紹介したいのだが、「EURÓPA KÁVÉHÁZ」のように、メニューにポガーチャを置いているカフェもある。ちょっと小腹は空いたけれどケーキなど甘いものを食べたくない時に、ポガーチャはぴったりの選択肢となる。特にこのお店のジャガイモのポガーチャは、食感が一段とモチモチしていて噛みしめれば噛みしめるほどじっくり味わえるので、満足感も高い。結局やっぱりあっという間に食べ切ってしまうのだが。

ホームメイドのポガーチャ
ホームメイドのポガーチャ

そういえば、先日お世話になったハンガリー人のご自宅を訪問した際も、最初に奥様お手製のポガーチャが出てきた。この後でランチに出かけるのでひと口だけ・・・・・・と思っていたら、あまりの美味しさに遠慮するのも忘れて次々に数個平らげてしまった。やはり手作りだから、というよりも、その奥様の腕と技で美味しくなっているような気がした。帰りがけになんと残りを包んで持たせてくださった。しかも、「今度作り方を教えるからまたいらっしゃい」と仰ってくださった。何度も何度も感謝の気持ちを伝えた。

そういうわけで、そう遠くないうちに実際に習いに行く予定だ。彼女ほどでなくてもいいから、私もぜひ美味しいポガーチャを作ってみたい。そして、自分の家のキッチンも、幸せな香りでいっぱいにしてみたい。

Fornetti Food & Beverage
1056 Budapest, Duna utca 6, Hungary
+36-30-321-4042
営業時間:月~金 6:30~21:00、土・日 7:00~21:00(不定休)
※「FORNETTI」は、掲載写真の店舗の他にもハンガリー国内で多数展開

EURÓPA KÁVÉHÁZ
1055 Budapest, Szent István Krt. 7-9, Hungary
+36-1-312-2362
営業時間:8:30~20:00 (不定休)
※ ケーキ販売コーナーは朝7:00より営業

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writer:本宮じゅん

2016年7月末にハンガリーのブダペストに移住したばかりの新米ライター。大学在学中に1年間ドイツのライプツィヒ大学に交換留学し、卒業後は外資系化粧品メーカー・広告代理店・外食産業と、業界が違いながらも通算14年近くマーケティング業務に携わった後、ハンガリーのブダペストへ。趣味は料理、街歩き、街歩きのついでに飲むビール。

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色とりどりの花のある生活

2017.04.19
writer:本宮じゅん

冬の終わりを、ずっとずっと待ち望んでいた。昼間なのに、ほとんど見えない太陽と白い空。重いコートと帽子と手袋と、スノーブーツで武装して歩く街。そして16時台には始まってしまう、長く続く夜。そのうえ最高気温でさえ氷点下。少しでも体を慣らしてみようと、運動も兼ねてウォーキングに励んでみたものの、結局なかなか寒さに適応できず、何度も風邪を引き込んで寝込んでしまった。ブダペストに来たばかりの去年の夏は、あまりの過ごしやすさに毎日お出かけするのが楽しみで仕方がなかったのに、冬が深まるにつれて、いつしかちょっとゴミを捨てるために外に出るだけでも億劫になってしまっていた。

けれどもそんな暗く重苦しい毎日がまるでウソだったかのように、春は突然ブダペストにも訪れた。それを教えてくれたのは、眩しく照らす太陽と澄み渡る青い空、そして近所の花屋のディスプレイだった。

街の花屋さん

街の花屋さん

学生時代に留学したドイツのライプツィヒもそうだったけれど、ここハンガリーのブダペストでも、街のいたるところで花を売る店舗やスタンドをよく見かける。地下鉄の駅へと続く通路に、トラムの停留所の近くに、大きな広場の一角に。半日出歩くだけでも何軒も目にすることだろう。しかも夜遅くまで営業している店も多い。ただ、当然といえばその通りなのだが、冬の間は閉めている店もあり、その存在をほとんど意識することはなかった。

それが春になった瞬間に、急に色とりどりの美しい花たちが目に飛び込んでくるようになった。ほんの少し前まで真っ白、もしくは灰色だった景色が、まるでキャンバスになったかのように鮮やかな色でいっぱいとなった。赤やピンクにオレンジ、黄色や白に紫と、さまざまな色を目にしているうちに、いつしか塞ぎ込みがちになっていた気分もあっという間に上向きになった。コートなしでも快適な日も続いて、新しい季節への希望と期待がどんどん膨らんでいった。

美しい花に囲まれる毎日

美しい花に囲まれる毎日

もちろん花屋だけでなく、公園や広場、道の途中に設置された花壇でもカラフルな花たちが街を彩ってくれる。いつの間にか、文字通り花に囲まれた毎日になっていた。そんな生活がとても嬉しくて、もしベランダか庭があったら自分でも育ててみたいくらいなのだが、残念ながら今住んでいるところにはどちらもない。だから、その代わりに出かけている間になるべく多くの花を見て、その姿を目に焼き付けている。綺麗な花を見つけるたびに足を止めて写真を撮ってみる。だけど何度撮ってもやっぱり、実物の美しさには及ばない。

素敵な花束のプレゼント

素敵な花束のプレゼント

種や苗から育ててみるのは諦めたけれど、せめて部屋に鉢植えか切り花を飾ろうかと思っていた矢先に、ピンクのバラの花束をいただいた。日本語を教えている生徒さんたちからの、誕生日のお祝いに。教室の前でなんだかみんなそわそわしている様子には気づいていたものの、その日は誕生日当日ではなかったので、本当に思いがけないサプライズだった。花束を抱えながら帰りのバスに乗り、家へと向かう途中、いつもと同じ道のはずなのにそれだけでとても特別な気分になれた。今はキッチンで、このコラムを書いている間も、変わらずに私の心を癒してくれている。

ブダペストでも夜遅くまで開いている花屋が多いのは、それだけ遅い時間でも、花を買う人があとを絶たないからだと思われる。友人からは、「(男性陣が)誕生日や記念日でなくても、いつでも恋人や奥さんにプレゼントできるためらしい」と聞いていたし、たぶんその通りなのだろう。花は人々の生活の中で必要不可欠、むしろ当たり前の存在になっているのだ。最近は春を通り越してすでに初夏の陽気を感じる日もある。まだまだこれからもしばらくは、さまざまな花たちがブダペストの街と私たちの毎日を鮮やかに彩ってくれることだろう。

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writer:本宮じゅん

2016年7月末にハンガリーのブダペストに移住したばかりの新米ライター。大学在学中に1年間ドイツのライプツィヒ大学に交換留学し、卒業後は外資系化粧品メーカー・広告代理店・外食産業と、業界が違いながらも通算14年近くマーケティング業務に携わった後、ハンガリーのブダペストへ。趣味は料理、街歩き、街歩きのついでに飲むビール。

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フォアグラのある生活

2017.03.15
writer:本宮じゅん

改めて思い返してみても、私がハンガリーでの生活を始めるという決意に大きく背中を押してくれたのは、フォアグラだったかもしれない。2015年9月、初めてハンガリーを訪れた旅行で、私は「人生を変えたフォアグラ」に出逢った。

それは、ブダペストの中心地にある「コム・シェ・ソワ(Comme chez soi)」という地中海料理レストランでのことだった。甘い香りとともに、フォアグラのグリルが豪快にフライパンごと目の前にやってきた。その時の衝撃と感激は、一年半経った今でも鮮明に憶えている。こんなに大きく、こんなにボリュームたっぷりのフォアグラを、私は初めて見たのだった。

人生を変えたフォアグラ1
人生を変えたフォアグラ

衝撃と感激は続く。アツアツで大ぶりのフォアグラは、一緒にフライパンの中で加熱されていたリンゴのソテーとともに、予めサーブされていたマッシュポテトに乗せられた。その盛り付けの豪快ながらも繊細な美しさに、思わず見とれてしまったのだった。 人生を変えたフォアグラ3

そして、最初の一口を口に入れた瞬間、衝撃と感激は最高潮に達した。遠慮がちに小さめにカットしたものの、それだけで濃厚な味わいが口いっぱいに広がった。あまりの美味しさに、心臓の高鳴りも加速した。私なんかが、こんなに幸せになって良いのだろうか。舌でゆっくり味わいながら、今までの自分自身の至らなさを深く反省した。これからお世話になっている周りの人々にできる限り恩返ししていこう、優しく接していこう、そう心に誓った。そうでもしないと値しないかもしれないと思うくらい、極上の体験だった。まさに、人生を変えた瞬間だった。 人生を変えたフォアグラ2

というわけで、その約十一ヶ月後、私はハンガリー・ブダペストでの生活を始めた。またあのフォアグラに出逢うために・・・・・・なんて、もちろんほかの理由もたくさんあったからなのだけど。


ところで、ハンガリーはフォアグラの名産国でもある。生産量ではフランスに次いで世界第二位にランクイン。実際「フランス産」と記載してあるフォアグラの半分以上は、ハンガリーで飼育されたアヒルやガチョウを輸入して取られたとのことで、実質上はハンガリーが世界第一位という考え方もあるようだ。街中の多くのハンガリー料理レストランには、必ずといってもよいほど、 メニューにフォアグラがある。メインだけでなく、前菜としても気軽に味わえるのが嬉しい。しかも価格もかなりリーズナブルだ。先述の「コム・シェ・ソワ(Comme chez soi)」のフォアグラのグリルは、フライパン丸ごとリンゴのソテーとマッシュポテトも付いて日本円にして約2,800円(※2017年3月現在)。そのうえ、三人でシェアしてちょうどよいくらいのボリューム。心ゆくまで堪能できるのだ。

さらにリーズナブルにかつ美味しくフォアグラを楽しめる方法として、ハンガリー料理に詳しい友人に家庭での調理法を教えていただけることになった。市場で新鮮な生のフォアグラを塊のまま買ってきて、ホームパーティーを開催。ちなみにその時、約700gで日本円にして約2,000円だった。うち半分くらいを1センチメートル幅にスライスしてフライパンへ。

おうちでフォアグラパーティー
おうちでフォアグラパーティー

適当なタイミングで甘口のトカイワインを注ぎ入れ、アルコールの力で特有の臭みを消した。フォアグラからにじみ出る油を利用して、スライスした黄桃も一緒にソテー。キッチン中が甘い香りと煙に包まれたので、玄関のドアまで全開にして調理を続けた。 友人の的確なレクチャーのおかげで、自分で作ったとは思えないくらい素晴らしい出来栄えとなった。四人で思う存分いただいて、残った分は後日フォアグラリゾットにした。そして、その後しばらくの間もキッチン中にフォアグラの香りは充満しており、余韻に浸り続けることができた。

五月にもフォアグラがメインのホームパーティーを企画している。友人たちとともに過ごす贅沢なひとときを、今から心待ちにしている。

コム・シェ・ソワ(Comme chez soi)
1051 Budapest, Aranykéz utca 2. Hungary
+36-1-318-3943
営業時間:12:00~0:00 (日曜定休)

motomiyajun

writer:本宮じゅん

2016年7月末にハンガリーのブダペストに移住したばかりの新米ライター。大学在学中に1年間ドイツのライプツィヒ大学に交換留学し、卒業後は外資系化粧品メーカー・広告代理店・外食産業と、業界が違いながらも通算14年近くマーケティング業務に携わった後、ハンガリーのブダペストへ。趣味は料理、街歩き、街歩きのついでに飲むビール。

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パプリカのある生活

2017.02.01
writer:本宮じゅん

ハンガリー料理にはパプリカが欠かせない、というのは日本にいる時から聞いてはいたけれど、ブダペストに住み始めて三ヶ月もするうちに、私の生活にとってもパプリカは欠かせない存在になっていた。

市場でパプリカを

ビオピアツ(有機食品市場)にて
ビオピアツ(有機食品市場)にて

私が通っているハンガリー語の語学学校は、ブダペスト観光の主要スポットにもなっている『中央市場』の近く。授業が終わるとまっすぐに向かって、習いたてのハンガリー語で店員さんと会話を交わしながら、日々の食材を調達している。季節によって少しずつ品揃えが変化している野菜・果物売り場でも、山積みにされた色とりどりのパプリカはいつも目を和ませてくれる。

甘い味の品種の中から、赤、緑、黄色、白と数種類のパプリカを選んで買う。色が多いと料理の仕上がりの見た目も華やかになる。生のままスライスしてスティックサラダにすることもあるし、焼いたり炒めたり調理することもある。熱を加えると甘みが増してグンと美味しくなり、ただオーブンで焼いただけでも絶品の一皿になる。

毎週土曜日は、ドナウ川西岸のブダ地域で開かれる『ビオピアツ』という有機食品市場まで足を運ぶ。さすがにどの商品も価格は若干高めだ。でもここで買うパプリカは、普段食べるものよりもどこか味が濃い感じがする(気のせいかもしれないけれど)。それにしても味、大きさ、形、色とさまざまなバリエーションがあって、ひとつひとつ手にとっても個性が見えてくるようだ。わざと面白い形や色をしているものを買うことが、週末のちょっとした楽しみになっている。

パプリカ粉とハンガリー料理

お土産コーナーのパプリカ粉
お土産コーナーのパプリカ粉

市場で目にするのは生のパプリカだけでなく、お土産物コーナーにはパプリカ粉も豊富に並んでいる。もちろんパプリカ粉はスーパーでも棚いっぱいに売られていて、価格もずっと安い。ただ、やはりお土産用のものはどれもパッケージがかわいらしく、コレクションしたくなるくらいだ。

伝統的なハンガリー料理の代表格『グヤーシュ』は、パプリカ粉をたっぷり使ってお肉や野菜と一緒にじっくり煮込んだスープ。日本の家庭料理においてのお味噌汁のような存在で、家庭やお店ごとに味が異なるという。グヤーシュ好きの友人の影響を受けて、私も初めて訪れるレストランでは必ず注文するようにしている。どのお店のものも、それぞれの美味しさがあってなかなかベストを決められない。

>伝統的なハンガリー料理、グヤーシュ
グヤーシュ(※約四人分)

パプリカ粉を使ったスープでもうひとつ、『ハラースレー』という魚のスープがある。海に面していないハンガリーでは、ドナウ川やティサ川で獲れる淡水魚が料理に使われている。ハラースレーには、鯉(コイ)やナマズなどをぶつ切りにしたものがゴロゴロ入っている。魚の出汁の旨味がしっかり効いていて、日本人の味覚にもぴったりな美味しさだ。

魚のスープ、ハラースレー
ハラースレー(※約四人分)

ちなみに、レストランではグヤーシュにもハラースレーにも辛パプリカのスライスやペーストが添えられて、途中で少しずつ加えながら味の変化を楽しむこともできる。ハンガリーに来たばかりの頃は、できるだけ辛パプリカを避けていた。市場でも、甘い味のものか必ず確認してから買っていた。でも、試しているうちにその刺激にも慣れてくるもので、最近では辛パプリカがないと落ち着かないくらいだ。自宅にも瓶詰めのペーストを常備していて、スープにラーメンにパスタにと、独自の使い方を楽しんでいる。

辛パプリカのペースト
辛パプリカのペースト

パプリカとビタミンC

実は、ビタミンCの発見でノーベル賞を受賞したセント=ジェルジ・アルベルトはハンガリー出身。南部の街セゲドの大学で研究していた頃に、その地の名産のパプリカから発見したといわれている。さらに、パプリカに含まれるビタミンCは加熱しても壊れにくいことも判明した。そう考えると、パプリカは健康や美容にも嬉しい食材でもある。

そういえば、日本では長年肌荒れに悩まされ続けていた私も、ハンガリーでの生活を始めてからは、びっくりするくらい調子が良い。こんなに乾燥した気候であるにもかかわらずだ。基礎化粧品も全く変えていない。 もしかしたら、毎日ほとんど欠かさず口にしているパプリカのおかげなのかもしれない。なんて勝手に思い込んでいる。

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writer:本宮じゅん

2016年7月末にハンガリーのブダペストに移住したばかりの新米ライター。大学在学中に1年間ドイツのライプツィヒ大学に交換留学し、卒業後は外資系化粧品メーカー・広告代理店・外食産業と、業界が違いながらも通算14年近くマーケティング業務に携わった後、ハンガリーのブダペストへ。趣味は料理、街歩き、街歩きのついでに飲むビール。

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クリスマスマーケットのある生活

2016.12.07
writer:本宮じゅん

12月に入り、ここ数日のブダペストはとてつもなく寒い。ついに最高気温が摂氏5度を切り、最低気温は氷点下となった。建物の中にいる限りは暖房が充分にきいているのでむしろ暑いくらいだが、外に出ると厚手の素材の服を重ね着しないと耐えられない。

北海道よりも緯度が高いので少しは覚悟していたものの、ここまでとは予想もしていなかった。さらに日照時間もぐんと短くなって、午後4時にもなれば外は真っ暗だ。寒い上に夜も長いので、ついつい出不精になってしまいがちになってしまっている。

でも、この時期だからこその出かける楽しみがある。街ではクリスマスマーケットが開催されているのだから。

ブダペストのクリスマスマーケット

クリスマスマーケットはドイツのドレスデンが発祥といわれており、歴史の流れとともに周辺国にも広まったようだ。学生時代に留学していたライプツィヒでも、街の中心地の大きな広場で開催されていて、当時は毎日のように足を運んでいた。ヨーロッパ、もとい外国でのクリスマスは初めてで、あまりの素晴らしさに感動して、思わず涙が出て来てしまったのは今でも憶えている。

そして、ブダペストに来て初めてのクリスマスシーズン。ハンガリー語でクリスマスマーケットは、『カラーチョニ・ヴァーシャール(karacsonyi vasar)』といって、今や街中のいたるところで開催されている。昼夜問わず多くの人で賑わい、特に夜は煌びやかなライトアップでブダペストの街をさらに美しく彩る。中でも最も大きな規模で開催されているのがヴェレシュマルティ広場(Vorosmarty ter)だ。

ヴェレシュマルティ広場のクリスマスマーケット

ヴェレシュマルティ広場のクリスマスマーケット

世界遺産にも登録されているブダペスト地下鉄1号線の終始駅から地上に出ると、まず目に入るのが、東京にも進出しているカフェ兼レストラン『ジェルボー(Gerbeaud)』の荘厳な建物。ヴェレシュマルティ広場はその建物を背に広がっており、ブダペスト随一のショッピングストリートであるヴァーチ通り(Vaci utca)へと続いている。ドナウ川にかかる鎖橋も近く、観光客にも大人気のスポットだ。

ヴェレシュマルティ広場

広場には大きなツリーが設置されて、さまざまな屋台で埋めつくされる。民芸品や雑貨、食料品の屋台にハンガリーの名物料理やホットワインの屋台。そもそもクリスマスマーケットというものは、どのヨーロッパの都市で開催されているものも、似たような印象を受けてしまいがちだ。それに屋台が並ぶ様子を見ていても、ブダペストの大きな広場でよく開催されているお祭りで見かけるものと、あまり変わらないようにも感じる。

けれども、このヴェレシュマルティ広場のクリスマスマーケットは特別だ。色とりどりのデコレーションがライトアップとともに明るく輝く景色は幻想的そのもの。中央には広大なテラスが設置され、ハンガリー名物料理に温まりながら少し高い場所から広場を見渡すことができる。公式ホームページにも記載してある通り、『ヨーロッパで最も魅力的なフェア TOP10』に選ばれたのもうなずける。

どこまでも続くクリスマスマーケット

ヴェレシュマルティ広場と隣接するデアーク・フェレンツ通り(Deak Ferenc utca)にもクリスマスマーケットは繋がっている。"Fashion Street"と英語で呼ばれるこの通りを見上げると、プレゼント箱やバッグ、ハイヒールなどをモチーフにしたラグジュアリーなイルミネーションが施されている。白と金色で輝く世界に囲まれていると、なんとなく自分にクリスマスプレゼントを買ってみたくなってしまう。

デアーク・フェレンツ通り(Deak Ferenc utca)のクリスマスマーケット

三分ほど歩いて通りを抜けると、右手に見えるデアーク・フェレンツ広場(Deak Ferenc ter)にも、左手に見えるエルジェーベト広場(Erzsebet ter)にも、クリスマスマーケットの屋台は続いている。エルジェーベト広場の前を通り過ぎてさらに歩くと、ブダペストで最も高い建造物のひとつ聖イシュトヴァーン大聖堂(Szent Istvan Bazilika)に着いた瞬間、また息をのむような美しい光景が広がる。

そして、聖イシュトヴァーン大聖堂

聖イシュトヴァーン大聖堂(Szent Istvan Bazilika)

大聖堂の前の広場には、大きな赤いクリスマスツリーと、そのまわりを取り囲むように小さなスケートリンク。時間は決まっているが、十四歳以下の子供は無料でスケートを楽しめるようだ。屋台のラインアップは他の場所とそう変わらないが、近隣にあるワインバーの屋台もちらほら見かけ、ホットワイン以外のアルコール類も楽しみやすい雰囲気を感じた。

日没後には大聖堂の正面がスクリーンとなって、プロジェクションマッピングショーが開催される。大音響のBGMが流れる中、壮大な映像を目の前にしているうちに、時が経つのも忘れてしまいそうだ。

クリスマスシーズンは、これからが本番。現時点でまだ始まっていない場所も少なからずある。また、クリスマス後も年末年始まで開催している場所もあるようだ。ギリギリまで楽しんでみたい。

参考
ブダペスト・カラーチョニ・ヴァーシャール 公式ホームページ(英語)
聖イシュトヴァーン大聖堂のアドヴェント祭 公式ホームページ(英語)

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writer:本宮じゅん

2016年7月末にハンガリーのブダペストに移住したばかりの新米ライター。大学在学中に1年間ドイツのライプツィヒ大学に交換留学し、卒業後は外資系化粧品メーカー・広告代理店・外食産業と、業界が違いながらも通算14年近くマーケティング業務に携わった後、ハンガリーのブダペストへ。趣味は料理、街歩き、街歩きのついでに飲むビール。

blog:ドナウの東か、遥かもっと東から
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